介護療養型医療施設での仕事内容や給料についてQ&A

私の働いている介護療養型医療施設について、お話します。

――介護療養型医療施設とはどんなところですか?特徴は?

「介護療養型医療施設」とは、入院の緊急性はないものの長期間の治療やリハビリが必要で、ご自身で生活するのが困難な方を対象にした医療施設です。

簡単に説明すると医療を必要とする要介護の高齢者が長期に渡って入院する施設です。

施設では医療や看護などが受けられ、介護の体制も24時間整っています。

私の働いている施設は、特に終末期の患者さまが最期の時を過ごされる場所ですので、ターミナルケアが中心です。

それ以外の方は、要介護1以上の方で、要介護度2,3,4,5の入所者割合も近年は増加傾向にあります。

「病室ではなく、自宅の一室で家族とともに最期を過ごせるような施設を」

という思いで作られた施設なので、ご自宅にいるように、お部屋は自由に使っていただけます。

施設の基本的なタイムテーブルはありますが、それよりも利用者さまのご希望を優先しています。面会も24時間自由にしていただけます。

現在、介護療養型医療施設は廃止の方向にあり、「老人保健施設」や「特別養護老人ホーム」への転換を進めていましたが、既存の老人保健施設などでは、適切な医療を利用者さんが受けられない事から、思ったように転換が進まず、転換の期限も平成18年の3月末まで延長されています。

これは看取りやターミナルケアなどの機能を、今後も確保していかなければならないからとの声が多いからです。

平成24年度からは新設の施設が認められていないものの、利用者さんやそのご家族からの医療のニーズを考えると、「今後も廃止せずに残しておくべき」という声も多数あがっています。

――介護療養型医療施設で働く介護職員の主な仕事内容を教えてください

健康な高齢者の方のための施設とは違って、医療、看護、リハビリを必要とされる方が対象なので、デイケア的なサービス(入浴やレクリエーションなど)はほとんどありません。

介護士の仕事は、基本的な掃除、洗濯、調理、食事介助、飲水介助、排泄介助、衛生介助の他、痰吸引や、症状に合わせた個別の対応、看護師さん達とコミュニケーションを取って、指示に従って医療的なお手伝いもします。

食事は介助の必要な方がほとんどで、食べられるように小さく刻んだり、ミキサーにかけたり、とろみをつけたりして食事の準備をします。

食事ができない方には、スープやゼリー、お好きな飲み物などをご提供します。

注入、点滴の方もいらっしゃいます。

また、上記のようなルーティンの作業だけでなく、「いかにおいしく食べていただけるか?」「なるべく寝たきりにならずに、心細くなく過ごしていただくにはどうすればいいか?」を各自工夫するのも大事な仕事です。

――1日の仕事のスケジュールを教えてください

仕事のタイムテーブルについて

 日勤帯
   8:30~10:00 業務申し送り、朝食後の個別ケア(口腔ケア、洗顔、トイレ、着替えなど)
 10:00~12:00 洗濯、掃除、昼食準備、面会対応、事務仕事
 12:00~13:00 昼食介助
 13:00~15:00 片づけ、面会対応、個別ケア、リネン交換など
 15:00~16:30 事務仕事、業務申し送り

日勤の時は大体こんな感じです。

夜勤帯
 16:00~17:30 業務申し送り、夕食準備、トイレなど
 17:30~19:00 夕食準備、夕食介助、片づけ
 19:00~21:00 夕食後の口腔ケア、洗顔。就寝前の着替え、飲水介助、トイレなど
 21:00~1:00 休憩、朝食の準備、事務仕事、ごみ捨て、巡回
   1:00~5:00 仮眠、途中で巡回
   5:00~6:00 トイレ、洗濯、起床されている方の見守り
   6:00~7:00 朝食準備
   7:00~9:00 朝食、片づけ、朝食後の個別ケア、業務申し送り

夜勤の時はこのようなスケジュールですね。

その他、ご家族の方や作業療法士さん、ケアマネさんなど、来客があれば対応しますし、利用者さんの状態は常に確認し、トイレ、おむつ交換、個別ケアは随時行います。

おむつ発注、食料の発注なども随時。

デイケアで入浴される方の準備と連絡。

重篤な患者さまがいらっしゃる場合は、夜中も頻回に状態を確認します。

――どうしてこの職場を選んだのですか?

この施設で働き始めたきっかけは、元々、知り合いだった社員さんに「スタッフを募集しているので、よかったら手伝ってもらえないか?」と声をかけていただいたことです。

以前から「看取り」というお仕事に興味があって(というのは不謹慎な言い方かもしれませんが)、その施設を立ち上げられた先生や、看護師さんの思いに共感するところがあったからです。

がんなどの病気になって亡くなられる方、認知症の方も多い現代で、「よく考えたら自分はそういうことについて何も知らないな」と思い、現場で働くことで、「身近な人にも何かお役に立つことがあるのではないか?」と思いました。

そして、施設に行ってみると、陰気な感じは全然なく、皆さんが明るくお仕事をされていたので、働いてみようと思いました。

――介護療養型医療施設での給料はどのくらい貰っていますか?

お給料は、経験や資格によって大分違うと思います。

当然ですが、資格があって現場経験の長い人は報酬が多いです。

ヘルパーの資格を持っていて夜勤ができる人であれば、正社員で支給23~24万円程で、手取り20万円くらい。

プラス年2回のボーナスで、年収換算すると340万円ほど。

介護福祉士の資格を持っていれば、支給25万円程で、年収350万円くらいになります。

固定給+夜勤手当+年2回賞与(残業はほとんどありません。あれば、実質サービス残業)

夜勤ができない人は月収17~18万円くらいですね。

――どんな人が介護療養型医療施設で働くのに向いていると思いますか?

介護のお仕事は、どんな現場でも、明るく、優しい人、ご高齢者を好きな人が向いていると思いますが、介護療養型医療施設では、それよりも、なんというか「責任感」と「臨機応変な素早い対応」がより重要視されると思います。

私の主観ですが、大切な家族の最期を任せられる人柄であることは、ご利用者さんや、ご家族さんとのコミュニケーションもスムーズにしますし、すばやい対応は万一の事故・トラブルを防ぐために重要です。

明るいけど、どっか抜けている、そそっかしい、という印象だと施設の信頼が得られないので、とにかく、「きっちり責任を果たす」ということをできる人。

そして、多少の社会人経験があり、腹が座っている人だとなお良いと思います。(社会人経験はなくても大丈夫ですが、利用者さんもご家族の方も高齢の方が多いので話が合わないと自分がつらいかもしれません)

と、言いながら、私ができているか?と言ったら、まだまだ未熟で、看護師さんやベテラン介護士さんの姿を見ては反省する日々です・・・

ただ、誠実に仕事をする、いつ何が起こるかわからない利用者さんなので、その時に後悔しないようにいつも丁寧に接する、という思いは強く持っています。

もし、自分の家族が施設にお世話になるとすればこういう接し方をしてほしいな、と考えてお世話できる方ならとてもやりがいのある仕事です。

実際に今まで仕事をしてきて、どのご家族の方も感謝して退去されるのを見てきました。

「最後まで人間らしく過ごさせてもらえました。ここに入れて良かった。ありがとうございました。」と言われると、涙が出そうになります。

楽なお仕事ではないですが、もし、このような施設を目指されている方がいらっしゃれば、是非、利用者さんの最後の幸せのために頑張っていただきたいと思います。

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